紙の約束手形廃止の代替に関する記事ですが…
メガバンクは、2025~2026年にかけて「紙の手形・小切手の発行を廃止する」と公表していますが、その代替として電子決済の仕組みを確立しようとするのが目的のようです。
三菱UFJや三菱商事、手形代替へ電子決済 法人クレジットカートで - 日本経済新聞 (nikkei.com)
「紙の手形・小切手の発行廃止」に関しては、2021年に政府が発表した成長戦略の中で「5年後の約束手形の利用の廃止に向けた取組を推進し、小切手の全面的な電子化を図る」と発表され、全国銀行協会も「手形・小切手機能の全面的な電子化に向けた自主行動計画」で、2026年度末までに電子交換所における交換枚数(手形・小切手)をゼロにすることを発表したことから、メガバンクが先陣を切って廃止を表明したものです。
一方、紙による手形・小切手の廃止に向けて利用が推奨されているのが、株式会社全銀電子債権ネットワーク(通称・でんさいネット)が取り扱う電子記録債権(でんさい)です。紙の手形の課題を克服した金銭債権として2013年2月からサービス提供開始されていますが、爆発的に普及している訳ではありません。
電子記録債権(でんさい)が普及しない最大の要因は「利用者側の手数料負担」と「利用環境=インターネットバンキングがベース」であると言われており、当該点を根本から見直す必要がありそうです。
ビジネスの世界ではさまざまなツールがデジタル化している中で、紙の手形には「郵送料・印紙税などのコストや紛失・盗難のリスクがある」「約束手形の場合、資金回収までの期間を要するという受取側の負担が大きい」というデメリットも存在し、商取引を行う上では時代の流れ にそぐわないとも言われています。
紙媒体の手形・小切手を廃止し電子化を進めることで、上記のような紙媒体特有のデメリットを解消する狙いもありますが、「手形・小切手法」に準じた扱いが可能な「電子記録債権(でんさい)」とは異なる、クレジットカード機能を活用するビジネスモデルはどこ迄普及するかは未知数ではないでしょうか。
記事では、売り手の企業がカード決済可能な請求書を発行し、買い手が法人カードでの決済に応じると最短で翌営業日に入金される。売り手側は素早く入金が受けられ、代金の未回収となるリスクが抑えられる。買い手側は代金の引き落とし日まで支払いを遅らせられる利点がある・・・となっています。
この場合、カード決済機能を前提にすれば、加盟店の位置付けになる「売り手企業」が決済代行手数料3%程度を負担することになるかと思います。また、買い手企業は法人カードの年会費等の費用負担を強いられる可能性もあるでしょう。この費用負担が、「でんさい」の課題となっている費用負担を大幅に引き下げることが可能であるならば、新たな決済基盤として選択されることもありでしょう。
ただ、三菱グループと取引のある企業への利用促進を目指すようでうが、一般の商取引のデファクト決済機能として普及するには相当ハードルが高そうですね。
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