地銀の新たなATM展開に関する記事です…
地方銀行である北海道銀行が、地元のコンビニ運営企業であるセイコーマートと提携、銀行ATMを道内600カ所のコンビニ店舗に設置するそうです。
北海道銀行、セイコーマート600店「道民のATM」 金融空白に一手 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
北海道銀行の店舗数は144(本支店136・出張所8)ですが、大半が道内の主要都市部に集中しているのが現状で、ATM網も中核都市を主体に展開されており、空白地である地域における顧客接点として活用できる点は、戦略上のメリットとして大きいでしょう。
SDGsによる金融包摂への対応という観点からすると「金融サービスから取り残された人々が経済的に安定した暮らしができるよう、基本的金融サービスへのアクセスをサポートする取り組み」の一環として、ATMという半疑似顧客接点(バーチャルでもありリアルでもある点)を充実させる意味合いは評価できるのではないでしょうか。
設置されるATMの機能にもよりますが、現預金の入出金の他、振込・振替、公共料金支払い、各種手続き、資産運用、その他決済等、個人の方を対象とした各種サービスを提供できる多機能のATMであれば、周知方法を工夫することで高齢化が進む過疎地でのサービスモデルとしては有効に機能することも考えられます。また、銀行側が負担するであろう設置に関する手数料に関しても、自前でATMを保守管理するよりは効率が良く、銀行側としてはメリットが多いのではないでしょうか。
ただ、このモデルを全国の地銀に展開するとなると、そう簡単にはいかないのが現状ではないでしょうか。異業種から銀行業に参入が相次いでいる現状(コンビニも然り)を考えれば、地域の金融機関と大手コンビニが手を組むことはおそらく無いでしょう。
道内全域を営業基盤と考え、道内を中心とした店舗展開を行い、且つ、他の本州資本によるコンビニとは一線を画した様々なサービス展開を行っているセイコーマートだからこそ、期待が持てるのではないかと思われます。
コンビニ評価でも全国一位となるほどですし、道内地方の方々にしてみれば、ある意味、重要な生活基盤にもなっているコンビニとしての店舗網に、金融分野のサービスが提供されるモデルとして周知されれば、社会インフラととしても重要になるものと思われます。
おそらくですが、ATMが障害によりダウンした場合も、セイコーマートの従業員による人的対応により対処するBCP(Business Continuity Planning)も視野に入れた内容になっているのではないでしょうか。
ネットワーク化された現在のサービスは、障害発生時の「オフライン対応」を如何にして業務活動に取り込むかも重要な検討課題になっていますが、人的サポートを視野に入れた対策を講ずることは重要な要素になるのではないでしょうか。
記事にもありますが、地方銀行と地元の信用金庫が連携する地域における垂直型の業務連携は、既に全国でも事例として行われていますが、コンビニという新たな形態との連携によるサービスモデルがどのように進展するか見守りたいものです。
最近のコメント