地銀の決算に関する記事ですが…
上場地方銀行の第三四半期までの決算に関して、与信関係費用が増加し減収になっているという記事です。メガバンクは増収の決算となっていますが、地銀は厳しい状況にあるようです。
地方銀行、不良債権処理などの与信関係費用3割増 大手銀行と明暗 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
与信費用に関しては、前年同期と比べ3割増加しているようですが、倒産件数の推移や問題となっている「ゼロゼロ融資」の返済開始による資金繰り悪化を加味すると、第4四半期も回復する気配はなく通年でも前年を上回ることが予想されます。
一方で、株価に関しては過去30年来の高値を更新する等順調のようで有価証券の含み益としてプラスに働くのでしょうが、反面、日銀の金融政策見直しによる金利正常化への転換は、国債価格への影響も考えられマイナス要因となる可能性もあります。更に、円安が相当進んでいる点を考えると外貨建ての運用資産についての影響も考慮する必要が出てきます。
金融機関毎の運用ポートフォリオによっり一概には言えませんが、地域金融機関の経営にとって与信費用の増加はプラスに働かないのは明白でしょう。
大手企業の決算内容を見る限り、景気は回復傾向にあり、賃金引き上げも政府が指導するように実現されつつありますが、国内景気は本当に順調なのかといえば、マイナス要因も多く、急回復することは望めないのではないでしょうか。
地域金融機関が支援する、中小企業の経営に関しては、地域によっては前向きな投資による資金需要も出てきてはいるようですが、中小企業景況調査(2023年10-12月期)の結果(令和5年12月12日)である業況判断IDは2期連続でマイナスを記録する等、回復基調とはほど遠いように思われます。
4月以降本格化する「ゼロゼロ融資」の返済への対応に関して、保証協会の協力もあり条件変更等により処理してきたのが実情ですが、抜本的な改革には手を付けることなく、先延ばしに過ぎなかった点を考えると問題が顕在化する可能性があります。
また、円安状態が今後も続けば、原材料等の輸入価格への影響も考えられ、国内市場をベースとする中小企業にとっては更に経営悪化に陥る可能性もあります。一部業種によっては訪日外国人の増加等によりプラスに働く可能性はあるものの、少子高齢化による人材不足という根本的なファクター改善が見込めない現状を考えれば、地域金融機関がメインとして支える中小企業の経営は総じて厳しさを増し、銀行が融資している貸出債権の評価も劣化する可能性が極めて高くなります。
次年度も引き続き経営が「V字回復」する可能性は極めて低くなるのではないでしょうか。
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