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2022年1月の2件の投稿

2022年1月28日 (金)

事業会社支援を再考する必要があるのでは…

令和3年度の金融機関決算は、増収増益になる可能性が高まっていますが、今後、数年は色々な意味で金融仲介機能のあり方を見直す必要があるのではないでしょうか。
東日本大震災の際の支援手法による取扱い期限が迫っているという記事です。
新型コロナ: 企業の債務返済、震災11年で新たな課題 地域金融が奔走: 日本経済新聞 (nikkei.com)

震災復興を促進すべく、震災前の負債を機構が買い取ることで、新たな資金調達を可能にする環境を整備することを目的に運用されていましたが、最終的に期限まで負債を買い戻して返済する必要があるのですが、震災後11年を経過し、期限を迎える対象先が今後多数発生するようです。
また、この2年間のコロナ禍における経済低迷が追い打ちをかけており、事業計画の策定も難しい状況になることも懸念されます。更に、後継者問題により事業そのものの継続をあきらめ、廃業を選択する事業者も、今後更に増えるのではないでしょうか。

東北エリアの金融機関も、資本制劣後ローンを取り入れるなど支援を継続している事例もありますが、ベースとなるのは、今後3~5年の事業計画を策定できることが基本となるはずです。しかし、コロナの影響も然りですが、金利の上昇や資源価格の上昇、株価の低迷等、経済活動に影響するマイナス要因を考えると、利益を計上できる事業計画を策定できる会社は少なく、難しいのではないかと思われます。
経営者の高齢化による後継者不足に加えコロナショックによる景気低迷により「廃業」する中小企業経営者が増加することで、地域における経営資源の散逸が積み重なることにより、優良な経営資源が活用されないまま喪失する可能性も高まるのではないでしょうか。

金融仲介機能とは、単にお金を融資するだけではなく、取引する事業会社が持続可能な経営を実現するには「何が必要なのか」見極め、最適な解決策を見つけ出し、金融機関が間接的に支援することと考えられます。その際、金融機関側は独自でリスクを負える覚悟を持った対応が必要になるのですが、この点は、監督官庁も指導しているポイントです。しかし、金融機関経営者の意識が、なかなか変わらないのが現状ではないでしょうか。

ゼロゼロ融資の取扱いにより金融機関の決算は良好のようですが、いち早く、真に求められる金融仲介機能の運営体制を確立できる金融機関は問題ないのでしょうが、従前の考え方を脱却できなければ、収益の源となる取引先の絶対数減少により、令和4年事務年度後半は厳しい状況になる金融機関が多くなるのではないでしょうか。

2022年1月10日 (月)

無担保無利子融資の返済開始問題ですが…

コロナ禍の影響による企業経営について、暫くは明るい兆しが見えないのが現況でしょう。
民間調査機関が公表する倒産件数は、過去50年以上例にならないほど低位で推移しているのですが、実情は厳しい状況が続いているのではないかと感じます。

倒産抑制でひずみ蓄積 21年、政府支援で57年ぶり低水準: 日本経済新聞 (nikkei.com)

倒産件数に計上されているのは、法的倒産(会社更生・民事再生・破産・特別清算)と私的倒産(取引停止処分・内整理)ですが、政府等の手厚い支援により、対象となる条件に合致する先が減少しているのは明白です。しかし、記事にある通り、本来は「倒産」の定義対象にならざるを得ない事業会社は多数存在しており、今年から開始されるであろう「融資返済」により資金繰りに窮する事業会社の増加は避けられないでしょう。

無担保無利子融資への対応、監督官庁の指導方針に関しては、以前のブログで記載していますが、問題の先送りであることは明らかです。
http://www.hfmc-honda.com/index-BLOG_20200804.html(2020.08.04)
http://www.hfmc-honda.com/index-BLOG_20211126.html(2021.11.26)
記事にあるとおり、返済余力の指標である実質有利子負債に対する「EVITDA」の倍率が5を超えているようですが、一般的に金融機関が融資判断する際には、当該数値は「7前後」が目安になるとい言われており、上限に近づいていると思われます。つまり、事業活動により発生する収益により負債の返済に何年を要するかを考えると、5~7年で完済することが目安となるはずですが、大幅に超える企業が多数存在するということです。

経済環境が改善しない状況下、政府も含め、「返済を一時的に猶予する等返済条件の緩和」を唯一の対策として対応しているのですが、果たして良いのか?疑問です。金融円滑化法の際も然りでしたが、返済を一時的に猶予したとしても、猶予期間中に事業そのものが改善して利益を出せる状態に改善しなければ最終的には破綻せざるを得ないということになるでしょう。

無担保無利子融資は信用保証協会の保証により保全されており、金融機関としてはリスクが無い扱いですが、今後破綻することにより代位弁済が増加すれば、結果、利息収入が期待できる貸出しが減少することになり、現在の地域金融機関の好決算は持続できないということになるでしょう。
単年度で決算内容が好転したとしても、コロナ禍が過ぎて以前の状態に戻った時点で苦戦するという事態になることも考えられます。自前でリスクを取らない経営を続けていれば「先は無い」ということになるように思うのは自分だけでしょうか。

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