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2021年10月の2件の投稿

2021年10月31日 (日)

顧客本位の業務運営に関する評価の記事です…

金融庁は、国民の安定的な資産形成を実現することを目的に「顧客本位の業務運営に関する原則」を公表していますが、金融事業者には、原則の2~7に示されている内容毎に、実施する場合にはその対応方針を、実施しない場合にはその理由や代替策を、分かりやすい表現で盛り込むとともに、取組状況を明確に示すことを求めています。
その内容を調査した結果、半数以上の金融事業者は内容が「不十分」であることが分かったそうです。

金融機関5年目の顧客本位、半数が「不十分」: 日本経済新聞 (nikkei.com)

ポイントは、金融事業者として「顧客の最善の利益を追求する=安定的な資産形成をサポートすること」になると思いますが、具体的な活動の指針として下記7つの原則が示されています。
1.顧客本位の業務運営に関する方針の策定・公表等
2.顧客の最善の利益の追求
3.利益相反の適切な管理
4.手数料の明確化
5.重要な情報の分かりやすい提供
6.顧客にふさわしいサービスの提供
7.従業員に対する適切な動機づけの枠組み等
留意事項として「金融事業者の取組状況や、本原則を取り巻く環境の変化を踏まえ、必要に応じ見直しの検討を行う」ことも明記されています。

金融庁は「金融機関等が、当局に目を向けるのではなく、顧客と向き合い、各社横並びではない主体的で多様な創意工夫を通じて、顧客に各種の情報を分かりやすく提供するなど、顧客の利益に適う金融商品・サービスを提供するためのベスト・プラクティスを不断に追求することが求められる」と金融機関向けの指導方針の中で解説していますが、 本来の目的は、日本国民の特性でもある金融資産の5割以上が「現金や預金」に偏っている実情を改善し、資産運用・資産形成事業を通じて成長資金を必要とする企業等への資金供給を担う資本市場の発展と経済成長へ貢献することを目指すべく「投資」へシフトさせることと思われます。

そのために、金融機関をはじめとする金融事業者に対し、具体的な活動テーマとして2~7の原則への取り組み方針を示すことを求めているのですが、金融庁が求める水準には達していなかったということのようです。
毎々のことですが、当事者である金融機関としては行政からの指導による「やらされ感」ということで、形式さえ整えればよいであろうと考える金融事業者が多いということでしょう。サービス業の基本である「顧客志向」を標榜している機関は多いのですが、実は、自社のことを主体に考えているという実態であり、根本から見直さなければ、真の目的は達成できないのではないでしょうかね…

最近、CX=カスタマーエクスペリエンスが普及し始めていますが、企業視点ではなく、顧客視点に立って、本当に顧客にとって価値があることは何かを考えることがポイントになります。そのためには、顧客の声をくみ取ることで事業活動へ適用する仕組みを考えることも重要となりますが、顧客本位の業務運営も、原則を考えるのではなく、顧客が求める価値=顧客ロイヤルティは何かを考え活動する全体的な仕組みを考えることが重要なのではないでしょうかね。

2021年10月26日 (火)

中小企業の資金繰りに関する記事です…

新型コロナ感染が一時的なのか劇的に減少したことで各種制限も解除となり、経済活動も元に戻りつつあるようです。冬に予想される感染拡大も心配ではありますが、経済回復を願っている企業は多いのではないでしょうか。

新型コロナ: 中小の負債、10年ぶり高水準 返済猶予切れ迫る: 日本経済新聞 (nikkei.com)

しかし、新聞の記事にあるとおり、中小・零細企業の業況は以前として厳しく、借入金を本業の利益で割った返済負担比率は20213月末に08年のリーマン危機後の水準まで悪化しているようです。
一方で、倒産件数は歴史的にも低位で推移していますが、これは、国による支援策が功を通しているのでしょう。「実質無利子・無担保融資」いわゆる「ゼロゼロ融資」により、何とか事業を継続しているのが実情のようです。

経済が以前の状態に回復するには、まだまだ時間がかかりそうですが、年明け以降「ゼロゼロ融資」の返済据え置き期間が終了し、返済を開始しなければならないケースが相当数ある一方で、返済の原資となる収益の劇的な改善は厳しいのではないでしょうか。
記事にあるとおり、借入金から手元の現金を引いた実質有利子負債をEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)で割った返済負担は、21年3月末に4.9倍で、リーマン直後の09年3月末の5.2倍に近づいたそうです。特に、資本金が1000万円未満の企業はは14倍近い数値になっており、中小・零細の比率が高い飲食サービスなどの赤字が響いたようで、今後、収益力が改善しなければ、倒産や廃業が増えるものと予想されます。

また、「ゼロゼロ融資」は信用保証協会の保守付きの融資が主体であり、返済が滞り代位弁済が増加すれば、間接的には国民の税金を充当することにもなります。
貸出=返済はしなければならない資金の提供方法を緩和すること(=返済を一定期間猶予し利息の負担も無くすること)で、借主の負担を一時的に支援する方法は、あくまでも問題の先送りであり、猶予する期間中に事業体の収益力が改善しなければ、結果として本質的な改革を先延ばしたに過ぎない結果を迎えることになります。

リーマンショックの際に実施された「中小企業金融円滑化法(返済を猶予する仕組み)」については、期間が2度延長され、更には、暫定リスケによる支援を継続するという対応を行い、その期限が迫っていた矢先に「コロナショック」に見舞われたという事実は、見逃されているような気がします。当該対象先であった事業者については、コロナ対策で実施された持続化給付金や雇用調整助成金等の現金支給により延命された先も少なくないとも言われています。

政府の施策の中でも、中小企業を支えるには事業再生支援を通じた収益改善が欠かせないと言われていますが、実効性のある再生支援を誰が担うのかが問題であり、借主でもある事業体も含め関係者全てが協力しあい、最善の方法を見つけ出すことが急務になっているはずです。
単に資金を提供するだけではなく、より具体的な対策を考えなければならないのでしょうが、リーマンショック時の対応も然りで、真の対策の姿が見えてこないのが問題なのでしょう。

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