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2020年5月の3件の投稿

2020年5月27日 (水)

金融機関の融資運用姿勢を問うものですが…

金融庁が、①金融機関が独自リスクで融資契約をしているか否か、報告を求めるという記事です。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59587880W0A520C2EE9000/

合わせて、②地域金融機関への公的資金注入の条件を緩和するという記事もでています。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59587880W0A520C2EE9000/

新型コロナ禍における経済危機を如何にして食い止めるか、事業活動の血流である「お金」の流れを止めないために、金融機関に頑張ってもらいたいということなのでしょう。
2020年3月期の決算では7割近くが前期比減益・赤字となっており、低金利政策と倒産等による不良債権の増加は、更なるダメージを与える可能性が高く、厳しいい経営を余儀なくされているとは事実であり、早い段階で②の対策を示したのでしょう。

しかし、①のテーマに関しては、今更というか、これまでの指導要領は何だったのか…と不思議に思います。
ここ数年、金融庁は「日本型金融排除(2016年に金融庁が示した言葉)」が発生していることが問題であり、改善するために、企業の事業性を正しく評価、併せて、無担保無保証の融資を推進すべきと指導してきたはずです。
その一環として、金融機関に「事業性評価」シートなるものを作成させ融資運営に適用すべきものとし、金融仲介機能のベンチマークにも盛り込み、運用状態を都度報告、開示させていたはずです。

しかし、最近は、金融庁長官が変わったことなのか否か分かりませんが、これまでの取り組みについては重要視されず、デジタルトランスフォーメーション=DXへの対応等、デジタル社会におけるIT対応を重要視する方向にシフトしていた気がします。
100年に1度といわれる、パンデミックによる世界的危機が発生していなければ、新たな、取り組みは重要であったとも思いますが、危機対応という観点からは、「事業性評価による総合的な企業支援」という取組みを継続・強化していれば、改めて指導するものでも無いように思うのは自分だけでしょうか。

お役所も、TOPが交代し、方針が変わることで指導方針を変えることはありますが、本質については、維持継続・改善しながら効果を高めていくことが、必要ではなかったのかと思います。
以前からもそうでしたが、「信用保証協会の保証」があれば融資をするというより、どうすれば信用保証を認めてもらうことができるかという風潮があり、自前でリスクをとる=企業を正しく評価するという取り組みは殆ど重要視されていなかったのが事実です。今回の緊急事態では、特に、その傾向が強く表れており、今の経営者としては、敢て、将来のリスクを取るという判断を下すことはしないのでしょう。
最近でも、メガバンクも含め、資金繰りに困っていても保証協会の保証付きでない案件は採り上げないという話をよく耳にしますので、現在も変わっていないということでしょうか。

2020年5月1日のブログ「金融庁による調査結果の記事ですが…」でも指摘しましたが、こういう時こそ、金融機関が独自の目線で融資債権の内容を見極め、適切に対処できる判断基準と取組方針をいち早く打ち出し、内部留保を効果的に活用しながら2~3年後の経営の姿を考え直し、真の意味で「顧客目線」で経営する必要があるのではないでしょうか。

2020年5月12日 (火)

三菱UFJ「コロナ債」600億円発行という記事です… 

国内で初めて「新型コロナウイルス」への対応を目的とした社債を発行し、調達した資金は資金繰りに苦しむ中小企業への融資に充てるそうです。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58939560R10C20A5MM8000/

コロナ債の起債は、これまで世界で400億ドル(約4兆3千億円)ほどで、国際復興開発銀行(IBRD)や北欧投資銀行といった公的機関が相次いで発行しているそうです。
また、今回は、銀行が破綻した場合に公的資金で救済せず投資家が損失を負担する債券で、自己資本を補完する性格を持つ 「TLAC債」として、海外投資家向けに外債で発行する計画です。

TLAC債に関しては、通常の社債と比較して、デフォルト時の弁済順位が低く、元本が毀損し期限前償還のタイミングがずれる可能性もあることから、金利やスプレットが高く設定される傾向があり、調達コストは高くなるはずです。
世界的に低金利が続く中、海外の投資家にとっては旨味があることから調達しやすいということなのでしょうが、高いコストで調達する資金であり、相応の収益を生む運用を考える必要がありますから、中小企業向けの資金提供といっても、それなりの金利を適用するのではないでしょうか。

一方、日銀は、先月、約3兆4千億円の金融機関向けの資金供給オペ(公開市場操作)を実施、金融機関に3カ月間ゼロ金利で資金を貸し出す決定をしましたが、先日の政策会議では更なる緩和策を発表、国債を上限をもうけず買い入れて潤沢な資金を低い金利で供給できるようにすることや、企業の資金繰り支援を強化することなどを決めています。
また、政府も経済対策もの一環として民間の金融機関による実質無利子・無担保融資の提供を実施するとしていますので、資金原資は相応に充実してきているのではなかと思います。

そういう状況を考えると、この時期に「コロナ債を発行して中小企業の資金繰り向け融資を拡充します」というプレス発表は、それなりにインパクトはあるかと思いますが、政府や日銀が実施する対策を加味し、利用し易い運用モデルでサービスを提供する体制を整備しました、何時でも、ネットや窓口に相談してください、即日支援します、という対策の方が効果があるように思うのですが…

ESGやSDGs等の言葉も出ていますが、本当の意味での社会貢献的活動とするならば、銀行がこれまで積み上げてきた内部留保=余剰金を無利子で取引先に開放するという思い切った活動を考えても良いのではないでしょうかね…
1年前の財務数値ですが、三菱UFJ単体の繰越利益剰余金は2兆9千億円、純資産残高は10兆9千億円です。国内貸出は個人も含め62兆円で中小企業向けは37兆円弱と比率的には6割程度の規模です。
今年に入り人員削減や各種手数料の引上げを発表、経営効率化を図っている状況下、経常利益が6千億円強の規模ですから、仮に1割に当たる600億円を開放するとなると株主等には猛反発を受けるでしょう。
しかし、上場する優良大企業として、世界的危機への対策として「単年度の困窮者支援施策」を実施するという考え方があっても良いのではないかと思うのは自分だけでしょうか…

2020年5月 1日 (金)

金融庁による調査結果の記事ですが…

金融庁の調査による、新型コロナの影響で業績が低迷した中小企業の融資条件変更への対応状況の記事です。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58661650Q0A430C2EE9000/

金融庁が公表した結果は「https://www.fsa.go.jp/ordinary/coronavirus202001/kashitsuke/20200430.pdf」になりまます。

調査対象となっている金融機関は、主要行と地方銀行が主で信用金庫や信用組合は対象となっていないことが前提です。
3月10日から同月末までに、返済期限の猶予といった融資条件変更の申し込みは2万6592件。うち3月末までに9996件の審査が終了し、99.7%にあたる9963件で条件変更を行い、同月末時点で審査が終了せず「審査中」とした1万6367件については、4月中旬までに7割で条件変更に応じたとのことです。
個人の住宅ローンについても、1028件の申込があり、152件の審査が終了し、94.7%の144件条件変更を行い、審査中である850件の内6割は条件変更に応じたとのことです。

中小企業の取引を考えると、信用金庫や信用組合の取引先でも同様の扱いは更に多いと思われ、上記以上の申込があるのではないかと推測されますが、対応状況としては同じなのでしょう。
数字の捉え方として、申込件数に対し1カ月かかって6~7割の承認率ということですが、スピード感を考えた場合、金融機関は頑張っている…と評価できるのでしょうか。

3月中に不渡りになった手形の数は1560件と去年の同じ月と比べて2倍になり、4月は更に増え倒産する企業が多くなると思われていましたが、4月17日に全国銀行協会が、新型コロナウイルス感染拡大の影響で資金不足に陥った企業に対して、手形や小切手の不渡り処分を当面猶予する特別措置を始めたためことから、通常であれば資金不足で不渡りとなり、2回繰り返すことで金融機関取引停止=倒産となる可能性が高い企業が相当数あると思われます。
不渡りにはならないが、資金繰りが厳しく手形決済は当然できず、金融機関の借入返済もできない企業が多数存在しているという状況で、条件変更により対応することでリスクを先延ばしするということも想定され、金融機関としては慎重な対応をとらざるを得ないということでしょうか…

ただ、数年前から「事業性評価」による事業実態の把握を進めてきた金融機関であれば、事業活動の内容も把握できており、緊急事態により資金不足に陥ている原因も明確であり、今後、回復の可能性が見込めるのであれば、そんなに時間もかけずに判断、支援できると思うのですが、そうなっていなのでしょうかね…

経済対策で示された、実質無利子・無担保の融資の扱いに関しても然りで、事業性評価による事業の実態把握ができているのでれば審査に1~2週間もかける必要もなく、直ぐに判断、融資実行できると思うのですが、そうならないのは何故なのでしょうか?
金融庁が指導していた「事業性評価運営」について真剣に取組み運用している金融機関であれば、今回のような緊急事態でも迅速に対応できると思うのですが、そういう事例が出てこないのが不思議です。

また、個人の住宅ローンに関しても、緊急事態宣言の期間が延長されることで収入が更に減少する方々、夏のボーナス支給額も減少する方々が相当数増えるのではないかと予想されますが、住宅ローンの返済に窮する方が6月~8月にかけて急増することも予想されます。

低金利政策が更に延長され、中小企業向けの融資債権の不良化に加え、住宅ローン債権も不良化することを想定すると、2020年度上期の金融機関決算は相当厳しいものになることも予想されます。
こういう時こそ、金融機関が独自の目線で融資債権の内容を見極め、適切に対処できる判断基準と取組方針をいち早く打ち出し、内部留保を効果的に活用しながら2~3年後の経営の姿を考え直す必要があるのではないでしょうか。
今回の新型コロナ問題はスペイン風邪から100年目のパンデミックでもあり、その後発生した世界恐慌にも近い世界的な災難になる可能性もありますが、全ての事業体が100年に1度発生するであろうリスクへの対応を視野に入れた対策を考えておく教訓にもなるのではないでしょうか。

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